それでは「世界一の高齢化国である日本ではどうなんだ」という話になり、これも死亡者数が多い理由を説明できない。
そこで、筆者は医師(日本内科学会総合内科専門医)であり、かつビジネススクールで医療経営を教えている立場から、日本の今後を予想したい。各国比較のデータは、すべてOECD(経済協力開発機構)の2019年版から引用している。
最近、メディアでよく聞くのは「医療崩壊」という言葉である。医療崩壊という言葉に厳密な定義はないが、ここでは、「患者が医学的に必要な措置が生じた際に入院できない、あるいは医師による適切な診断・治療を受けられないこと」を指すと定義しよう。
つまり、患者数に対して、医師の数が不足していたり、病院(病床数)が不足していたりすることである。
ちなみに、ここでは単なる感染者数は、各国ごとの検査に対しての「考え方」が異なるために、比較の材料としては使用しない。あくまでも、死亡者数や人口当たりの死亡数の多さについて、比較・検証していきたい。
イタリアでは発症から
死亡に至るまでが早すぎる
まず、イタリア国立衛生研究所が公表した文書によると、感染者の症状発現から入院するまで4日間かかり、さらに4日後に死亡する、という発症から入院、死亡までの異様な早さが目に付く。
死亡者の平均年齢の中央値は80.5歳で、感染者の場合は63歳だという。いくら高齢者とはいえ、わずか8日で死亡というのは早すぎるという印象がある。
これは患者が必要十分な医療を受けられていない状態、いわゆる「医療崩壊」が間違いなく、生じていると考えられる。
実際、2020年3月22日のデータにおいて、イタリアでは感染者数4万7021人、死亡者数4852人、人口当たり死亡率0.008%(以降人口は外務省基礎データで計算)と死亡者数が多い。
他のEUの国でもドイツでは感染者数1万8323人、死亡者数が45人と少なく、人口当たり死亡率0.00054%で、ドイツの感染者数はそこそ こ多いが「医療崩壊していない国」とされる。また、韓国は3月12日の感染者数7476人で、ピークアウトしたといわれている。
しかし、1カ月前は全く状況が異なっていた。
