藤井厳喜著:国家破産以後の生活より引用

李登輝・前総統も評価する「武士道精神」の復活を


 さて、ここで筆者が主張したいのは、日本が国家破産とともに日本が日本であるべき根本を失ってはならないということだ。つまりこの国の人々の精神の問題である。

 それが、結局は文化をつくり、伝統をつくり、経済を動かし国家をつくってきたわけだからそれが失われてしまったら、国家破産は取り返しのつかない悲劇になってしまう。

 では、日本人がこれまで培ってきた精神とはなにか? それは、やはり、「武士道」であろう。 武士道というと、「軍国主義」と短絡的に批判する向きが多いが、筆者が言う武士道とは、まったく異なったものだ。つまり、国家破産はただ貧しくなる。お金がなくなるということ。

そんなことが、日本人の精神文化からいって、それはどのダメージなのかということである。財産を守りたい、なんとしても貧しくなるのはいやだというのは、結局は拝金主義である。

金さえあればほかはどうでもいいなら、人間の生き方としてあまりにも貪しいのではなかろうか。

 現在、拝金主義がいちばん厳しい国は中国だ。 しかし、われわれとていままで「経済発展第一主義」できて、それを反省する暇もなかったのは確かだ。だから、国家破産以後は、それを反省して出血すべきであろう。すると、日本人の原点とはなにかということになる。それで、あえて武士道を筆者は持ち出したのだ。

 じつは、日本の武士道精神をもっとも高く評価しているのは、台湾の李登輝・前総統である。 彼は、戦後の日本人より戦前の日本人を高く評価し、「日本人の原点はまさに武士道である」と言う。そして、李豊輝・前総統が言う武士道精神というのは、一言で言えば「誠」の精神である。要するに、日本人は真面目に努力することに最高の価値を置く。日本人はインチキをしてお金を儲けたのでなくヽちゃんとモノをつくって儲けた。そして、約束は必ず守った。これを失ったら、日本は日本でなくなるということである。


 李登輝・前総統は次のように言っている。

なぜそこまで私は日本文明にこだわるのでしょうか。私が22歳まで日本人であった、ということを越えて、それは、グローバリズムとテロリズムのまさに未曾有の人類の危機の

時代にあって、数千年にわたって営々と築き上げられてきた日本の歴史と伝続こそが、人類を救う普遍的精神である、と確信するからです。

 戦後、日本は歴史と伝統を否定する自虐史観に支配され、肝心の日本人白身が、人類を救う普遍的価値である目本精神=大和心を忘れてしまいました。 とんでもないことです。今こそ大和心を発揮し、世界でもっとも信頼され、尊敬される国として、人類社会の指導国家として、立ち上がってもらわねば、人類は生存の羅針盤を失いかねないのです。

               (『月刊日本』2004年4月号収録)