私たちが人生の土台として持つべきアイデンティティーは「愛され、尊ばれ、受け入れられている」というものです。そういったアイデンティティーは本来、健全な家庭で育つ中で自然に身につけていくものです。しかし、現実としては完璧な親は存在しないので、人は多かれ少なかれ何か欠けた状態で成長し社会生活を始めていくことになります。

たとえ、成長過程で受け取ることができなかったとしても、私たちが信じていることは神様と出会うことによって心が癒され、アイデンティティーの回復がなされていくというものです。ところが、現実問題、教会に集ったからと言って健全なアイデンティティーが回復されるとは限らないという現実があります。
つまり、たとえば、賛美をすることによって聖霊が働いて人は変わるだろう。メッセージを聞くことによってその人の考え方が変わるだろう。イベントを行って交わりをすることによって人は教会になじむだろうとしたとしてもうまくいくとは限らないのです。もちろん、そういった考え方のすべてが間違っているわけではありません。しかし、多くの取りこぼしがあるのも確かです。

ですから、私たちは、個人が回復する為にどうすればよいのかを最優先に考えるようになりました。その結果いくつかの間違ったプロセスをしていたことに気が付きました。
それについて詳しく書いていく時間はありませんが、たとえばガラテア書6章2節に「互いに重荷を負いあうときにキリストの律法が全うされる」と言う言葉があるように、人との関係の中で神様の霊に働いていただくことが大切であることを感じます。

また、人々の回復のために、教会の雰囲気も大切です。その為に心掛けていることは、競争を作らない、特別な人を作らない、批判されることがないなどといったことです。
この教会では誰も何かを無理強いさせられることはありません。境界線がたっとばれ、個人の決断が尊ばれます。つまり大人として扱われるということです。たとえ、それが最高の決断のように見えなかったとしても、それが失敗だとしても、それを通じて神様が働かれることを期待しているからです。

こういう話をしたときに、メンバーを自由にさせていたらそれぞれが好き勝手にして教会がぐちゃぐちゃになってしまうのではないかと心配する人がいましたが今のところそんなことはありません。
むしろ、のびのびとしてしているように思います。

教会がコントロールするのではなく神様が一人一人に与えた特性やビジョンを尊いものとして理解しているというのも大きな要素だと思います。