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《水掛け論》に陥らないために

[デッサンにたとえて言えば]

 あなたがある対象を見つめるとき、たとえば目の前にあるモチーフをスケッチする場合を考えていただきたい。木や花でもよいし動物でもよい。あなたはまずモチーフのどのような場所に意識を集中するだろうか。まずどのような場所を観察して描き始めればしっかりした絵を描くことができるだろうか。

 実際に植物や動物などをしばらく見つめてみると誰にでもわかることなのだが、そのモチーフを特徴付ける明確な部分がある。たとえば木を描きたい場合、太い幹の形や大きな枝のつき方とその形は誰にでもはっきりと見えるものである。しかし細かい枝や一枚一枚の葉っぱ、枝の先についている花や実などを最初から描写するわけにはいかない。先端の細かい部分に意識を集中してしまうと、逆に見れば見るほどよく分からなくなる可能性が高い。周辺の形や遠近の見分けがつきにくく、またゆれたり動いたりして全体的な構造の中での位置関係がつかめなくなるからだ。そこにこだわっているといつまでたっても描いては消し描いては消しを繰り返して、永久に絵は完成しない。

 中にはモチーフをろくに見もしないで、はなから自分の描きたいふうに筆を進めていくような乱暴な人がいるかもしれない。そんな人は、細かい部分に注目し、いくつかの共通点があるからと言って目の前にいるウサギを狐にしたり松を梅に描いて平然としているだろう。そのような人は初めから絵などに手を出さなければよかったのである。

 
[水掛け論]

 ある一つの出来事を観察し判断する場合も同様であろう。見方によっては様々な解釈が可能だったり、手に入る限りの資料でその有様を十分な確度をもって知ることができないような事柄にこだわってしまうと、永久にその出来事についての認識はできなくなってしまう。

 間の悪いことに、そのような部分に限って魅力的だったり好奇心を引かれたりして、ついついこだわってしまいたくなるものだ。そうなると、ちょっと見方の異なる人に出くわした場合には大変なことになる。そのような部分について延々と出口の見えない議論が始まり、膨大な時間とエネルギーが無駄に使われることになる。

 はなから結論なんか出るわけがない消耗な議論を《水掛け論》というのだが、いまのスケッチの例でも明らかなように、《水掛け論》に陥る場合はそもそもから
物事を観察して判断するための方法論が誤っている のだ。不適切な方法論に基づいて正確な観察や判断などできるわけもあるまい。

 そのような《水掛け論》のネタになる部分は、疑いようのないしっかりした構造が見え全体像がある程度以上明らかになるまでは
「スケッチ用紙の上に大まかな範囲だけを変更が可能なように薄い鉛筆の線で概形を引いておくにとどめる」 べきである。全体図を完成させる作業はその後からでも遅くはあるまい。

 ある人にとってきっとこれは「面白くない」「魅力を感じない」作業だろう。また世の中にはどうしても自分にとってピンときやすい部分だけを見てそれに延々とこだわる人が多いことも事実である。しかし9・11事件に関しては、事件現場だけでも二千数百名の人命が奪われ、それをきっかけに百万人以上ともいわれる死者を出す戦争が続き、西側世界のファシズム体制ができつつあるきっかけとなった歴史的重大事件である。そのような事件について考えたり議論したりする場合には、やはりこのような《水掛け論》に決して陥らない態度と思考方法が最初に求められるのではないだろうか。


[《水掛け論》にすらならない単なるデマ]

 もちろん9・11事件に関しては
《水掛け論》にすらなりえないデマが様々に飛ばされ、それらが説明責任の不在をごまかし続けてきた。そのデマの代表が、大手マスコミと一部の破廉恥な学者によって発せられた「燃えるジェット燃料がツインタワーの鋼材を熔かした 」というすばらしいトンデモである。
 下の図は、2001年9月13日付のBBCニュース(インターネット版)に掲載された
ツインタワー崩壊の説明図 だが、ここには「火災は鋼鉄の床支持材を熔かすのに十分な800℃に達する」と書かれている。

 この英国国営放送局のスタッフは全員が一流大学の卒業者だと思うのだが、そのうち誰一人として
鋼鉄の融解点が1500℃前後 であると知らなかったのだろうか。
 驚いたことに米国や英国の有名大学の物理や建築などの教授たちが同様の「見解」を表明したのである。しかしこの人たちがその博士号を返上したとは未だに聞かない。
 ついでにいえば、このBBCの説明図では
コアの構造が事実とはかけ離れている。単なる事実無根のデタラメに過ぎない。
 どうやらこの英国国営放送局は時として事実を調査せずに報道することがあるようだ。
(WTC第7ビル崩壊のように、事実が起こる以前に報道した例もあるようだが。)

 ツインタワー崩壊についてはこの種のデマが多くある。当然だがこれらは《水掛け論》になる値打ちも無い単なる大嘘に過ぎない。しかし
こういったデマが権威ある機関や個人によって発せられることが大問題 だ。ついでに他の例も出してみよう。

 米国の権威ある科学雑誌ポピュラー・メカニックス誌は「
ジェット燃料が燃えながらエレベーターシャフトをつたって落ち、それがコア支柱の強度を弱めた 」と発表した。ところが、ツインタワーのエレベーターシャフトはそのほとんどが途中で2箇所にわたって区切られているのである。馬鹿馬鹿しいのでここではわざわざスペースを割いてお見せすることはしない。次のUrlでエレベータ配置図をご覧いただきたい。

 これはWikipediaによる説明図であり、左側に各フロアーの図、右側にエレベーター配置が描かれている。
 ビルを一階から屋上まで貫通するエレベーターシャフトは非常に数が限られており、たとえそこから燃えるジェット燃料が落ちたとしても、コアの支柱構造を弱めることは不可能である。さらには、酸素供給の限られた閉鎖空間で、どれほどの熱量が期待できるというのか? エレベーターはドアが閉まっているのだ。もちろんポピュラー・メカニックスはそのおおざぱな試算すらしていない。これもまた単なるデマ、すでに
都市伝説の類となった愚論 であり、もはや《水掛け論》にすらなりえない。

 こういったデマの類には他に、たとえば「
ツインタワーは火災の熱によってその鉄骨構造が劣化して崩壊した」というものもある。ただしこれにはNIST(米国国立標準技術研究所)が最も責任を負わねばなるまい。
 NISTは2005年に米国政府に提出し公表したその「WTCタワー崩壊に関する最終報告書」で、火災の炎の最高温度を
何の根拠も無しに「1000℃以上」と推定した。ツインタワーの火災が明らかな不完全燃焼であったことを十分に知りながらである。ただし、NISTは火災現場のことしか語っていない。百歩譲ってNISTの推定が正しかったとしても、それはあくまでも火災現場の、それも炎の最高点の話である。
 実際には、NISTは600℃に達した形跡を持つ鋼材を一本も発見しておらず、250℃に達した例すらごくわずかでしかなかった。これは最終報告書で自ら公表していることである。そして彼らは火災現場から離れた箇所については何一つ語っていない。実際には、
次の写真の とおり、ツインタワーの大部分は飛行機激突の衝撃とも火災ともかけ離れた場所であった

 しかし、NISTが「火災現場以外については一切何も研究しなかった」ことを正直に語らないために、
一部の読解能力の欠如した粗忽者達 がこの報告書に対して次のようなトンデモない誤読をしでかすことになる。あたかも「ビル全体の鋼材が非常な高温に達したためビル全体が崩壊した」かのように である。これはNISTの責任だ。彼らは何一つ根拠を示さないままに「1000℃!1000℃!」を連発して粗忽者達の「誤読」を意図的に誘発している。
 さらにそのような粗忽者達は得々として他人にその誤読を広めまくる。再度申し上げるが、実際にはNISTの最終報告書によると、火災現場ですらその
強度を大幅に落とすほど高温になった(600℃に達した)鋼材は全く発見されていないのだ。250℃に達した箇所すらごく少数しか見つかっていないのである。
 そしてそのような粗忽者達が、たとえば「常温のままの鉄柱構造がどのようにして全面的にほとんど均一に崩壊するのか」というような物理的な事実に関して尋ねられるならば、何を言われているのかすら理解できず、「
陰謀論!」と叫ぶのみであろう。こうやってそのような者達は自分たちの愚かさを世間に宣伝しているのである。
 これなども、
もはや《水掛け論》になるほどの値打ちも無い「都市伝説」の一種であろう。
 

[被写体の真贋論争]

 9・11事件で典型的な《水掛け論》は
真贋(しんがん)論争、つまり「本物か偽物か」に関する議論 だろう。

 たとえば飛行機の残骸に関するものである。
次の物体は WTC第2ビルに激突したユナイテッド航空のエンジンと言われているものだが、「どうもあやしい」「絶対に本物だ」の論争が果てしなく続いている。


「本物派」「偽物派」ともに、
最初に結論があってそれを証明するためにありとあらゆる根拠を披露する わけだが、その根拠として提出した事柄に対してまた一つ一つ「嘘かまことか」の論争が開始される。こうして千日手に陥ってしまうのである。
 
次の例も 有名なものだが、ペンタゴンに突入したアメリカン航空77便の残骸とされる写真で、この種の写真をめぐっても様々な真贋論争が繰り広げられてきた。

しかし先ほどの「175便のエンジン」にしてもこの「77便の機体の一部」にしても、
次の写真の通り、事件当初にFBIが『物的証拠』として拾い集めたはずである。そしてそれらの物議をかもす『物的証拠』の数々は、米国捜査当局によっても米軍によっても、一度たりとも詳しい分析結果が公表されたこともなく実物の展示もなされていない。

 この
米国当局者の「証拠隠し」と言えるやり口こそがこんな真贋論争の元凶 なのだ。いずれの立場にせよ攻撃の矛先はそちらの方にこそ向かわねばならない と思うのだが、事件以来、こういった写真だけを元にしてこのような品々の「本物、偽物」論争が続いている。何が馬鹿馬鹿しいと言ってこれほどくだらない話はないだろう。

 しかしながら、ペンタゴン周辺にあった「77便の残骸」とされる物体については
いくつかの奇妙な点 が無いわけではない。たとえば次を見てみよう 。右端の黄緑色の車両は化学消防車で、おおよそ飛行機激突箇所の正面に当たる位置にとまっている。左に見える建物はヘリポート・タワーである。


 この写真ではまだ向こう側に見える工事用の発電車両(ジェネレーター)」が盛んに燃えており、化学消防車による消火活動はまだ始まっていない。その手前側で飛行機激突箇所から離れた場所に対する消火が行われている。
おそらく事件発生後10分以内のことで 、まだFBIによる残骸収拾作業は開始されていないようだ。

 次の衛星写真で位置的な確認をしてほしい。青い線がペンタゴン当局の発表したAA77便の飛行コースである。

 
 ところで先ほどの写真の左端を見ていただきたい。暗くてわかりにくいので、ヘリポート・タワーの陰になっている箇所を拡大して見やすいように明度とコントラストを調節してみた。

 どうやら「77便の残骸」と思しき物体がこんな場所にかたまって落ちているようだ。これは極めて不自然な現象のように思える。上の衛星写真から位置的な関係を考えてもらいたい。激突して大破した77便の機体が、ほとんど横向きに飛んでこのヘリポート・タワーの真裏にかたまって落ちるのだろうか。

 さらに言えば、
ペンタゴン前庭の芝生に落ちていた「77便の残骸」のほとんど全てがヘリポートよりも北側で写真に撮られている 。写真で見る限りでは激突箇所に近いヘリポートの南側には全くと言ってよいほど残骸が見られない。そんなことが力学的に可能なのかどうか私は知らないが、非常に考えにくいことではないだろうか。

 しかし、まあ、このようなことも「本物派」に言わせれば、「ハッハッハッ、偶然、偶然!すべてが偶然! 
たまたまの偶然がたまたま偶然に続けばそのようなこともたまたま偶然に起こりうる! 」というようなことにでもなるのだろう。こうしてまた果てしない論争が続くことになる。

 中にはペンタゴン内部のものを含めたこの種の写真を取り出して「証拠があるのだから77便がペンタゴンに突っ込んだことには疑う余地が無い」などという論理音痴むき出しの人もいる。ある主張が「正しい」ことを説明するのに「正しいという根拠がある」だけでは決定的に不足であり、もう一つの条件である
「正しくないという根拠が存在しない」ことが絶対に必要なのだ。だからそれがわかっている者達は、疑いを持たれる現象に「偶然、偶然」を連発することになる。実に卑劣な態度だと思うのだが、最初に結論を振りかざしその結論を守ることだけが目的の人たちは、論理的な誠実さなど、とうの昔にゴミ箱に捨てているのだろう。


[視覚情報を取り扱う際の原則]

 最初に述べたスケッチのたとえで明らかだろうが、私はもはやこんな《水掛け論》に参加する気はない。このサイトではこういった真贋論争のネタになるような情報は基本的に取り扱わない。
誰がどう見ても異論の出ようのない確実な事実といえるもの を、常に出発点にし、チェックポイントにし、全体の構図の決定要因とするようにしたい。

 そこで、このサイトで扱う視覚情報(ビデオ、写真)についての原則を述べておこう。

(1)画像そのものに偽造・変造の疑いがかかる余地の無いこと。
 まず撮影者や撮影の責任の所在が明らかであることが大切だろう。しかし残念ながら現在インターネットの世界で溢れる9・11事件に関する写真やビデオには撮影者などが知られないままに使用されているものも多くある。その場合には、他の多くの写真やビデオと比較してみて、間違いなく同じ物体、同じ現象とその連続を映し出しているものであるかどうかを確認する必要があるだろう。また偽造ではなくても、光の具合や速すぎる動きのため、あるいは映像自体がボケていたりブレていたりするために、見づらくなっている事柄に関しては、他の情報と照らし合わせて判断する必要がある。

(2)人間が運べる大きさの被写体は相手にしない。
 そもそも「本物、偽物」論争の対象は人間が運ぼうと思えば運ぶことのできる大きさのものばかりである。だから懐疑派はいくらでも「被写体のでっち上げ」や「すり替え」の疑いのネタを見つけようとし、信奉派はいくらでも被写体を信用するためのネタを探すことになる。どちらにせよ「結論を先に持っている」以上、迷路にはまりこむのは止めようがあるまい。映像に写っている物体がもし100トンもあるものならこんな消耗させるだけの論争にはならないだろう。
 最初に述べたスケッチのたとえを思い出してほしい。
どのように疑っても疑う余地の無い確実なところからまず認識を組み立て始め 、その他の部分はその後に、この作業の中で確かめられる筋道からはずれない範囲で解釈していく以外に方法があるまい。

(3)立場に関わらず同じものと受け取る以外にはない物体や動きだけを対象とする。
 いくら画像自体の変造が無く、被写体自体に偽造の疑いのかかる可能性が無い場合でも、写真だけで結論を出すことがそもそも不可能な場合がある。
典型的なもの をご紹介しよう。

 かの有名な「ポッド」である。WTC第2ビル(南タワー)に激突する寸前のUA175型機の機体の下に、何やら奇妙な影かある。これは他のいくつかの撮影責任の明らかな映像にもはっきり写っており、決して偽造ではない。機体の下側の一部、主翼の付け根辺りが膨らんでいるようにも見える。懐疑派はこれを「軍用機に見られるポッドだ」と主張する。それに反発する側は「機体下部の影がたまたまそのように見えるだけだ」と反論し、延々と水掛け論が続く。

 しかし、飛行機の残骸はWTC地区の膨大な残骸と共に、ブッシュ政権とニューヨーク市(当時の市長はルドルフ・ジュリアーニ氏)の手によって二度と日の目を見ないリサイクルの形で処分されてしまった。また2機の飛行機から出たエンジンやランディング・ギヤ(着陸用の車輪)などの大型の残骸はFBIによって集められたはずだが、実物の公開や実物に基づく詳しい分析の無いままになっている。消防士たちはFBIがブラックボックスを回収したと証言するが、FBIは逆に4個もあったブラックボックスの1個すら「見つからなかった」と主張する。物証を元にした確実な判断などは最初から道を閉ざされているのだ。

 これではこんなはっきりしない映像だけを元にしていくら論争を行っても、はなから結論など出るわけがあるまい。これもまた《水掛け論》の典型である。この種の映像資料もまた取り扱う対象にしないでおこう。


 私が対象にするのは、目で物を見て確認できるだけの能力がある人なら(できることなら高校用教科書レベルの物理と化学の知識を持ってほしいのだが)誰が見ても一つの出来事にしか見えない映像資料のみである。つまり、決して《水掛け論》に陥らない資料だけを相手にしたい。
 以上の点について、ご了承いただきたい。


「見ればわかる9・11研究」内リンク
当サイトからのご挨拶 真実の見分け方  《水掛け論》に陥らないために


シャンクスビル93便墜落現場に見る 物理的事実 vs 真っ赤な嘘


【第1ビル(北タワー)】 崩壊の全体像  上層階の消滅(1)  上層階の消滅(2)  水平崩壊!  吹き飛ばされた巨大な壁  立ち残るコア

第1ビル崩壊の まとめ


【第2ビル(南タワー)】
崩壊の全体像  崩壊開始時の奇妙さ  上層階の回転と消滅  水平崩壊!  巨大な板状で落ちる壁  立ち残るコア

 第2ビル崩壊の まとめ


【ツインタワー崩壊の特徴】 超微粒子の《火砕流》  爆風の連続噴出  爆風の単独噴出  吹き飛ばされる外周の建材  熔けた金属  ツインタワー崩壊の総まとめ


【WTC第7ビル】
崩壊の全体像  崩壊の特徴  NISTの更なる大嘘

【ペンタゴン】
Eリング外壁の状態  ビル内部と「出口の穴」  照明塔とジェネレーター

【飛行機とハイジャッカー】
飛行機は「消滅する」のか?  彼らに操縦ができたのか?


【後書き】
これは我々自身の問題なのだ
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